今回は「魔女の宅急便」のあらすじ・ネタバレを紹介します。
よく地上波で流れる作品でもあるので、知名度は高いです。
しかし最後まで見たことはない人も結構いるのではないでしょうか。
「魔女の宅急便」のあらすじ
「魔女の宅急便」の主人公”キキ”は魔女の女の子。
魔女のしきたりにより13歳となった彼女は月夜の晩に旅立った。
相棒の黒猫ジジとともに故郷を離れ、たどり着いたのは海の見えるきれいな街コリコ。
そしてキキはとある仕事を始める。
それは「魔女の宅急便」―。様々な経験をする中で、少しずつ、大人になっていく、成長物語。

「魔女の宅急便」の登場人物・キャスト
キキ(声/高山みなみ):本作の主人公。
魔女の女の子。赤い大きなリボンがトレードマーク。
おソノたちが営むグーチョキパン屋で居候をさせてもらっている。
- ジジ(声/佐久間レイ):キキの相棒。黒猫。キキとは魔法によって会話ができる。
- オキノ(声/三浦浩一):キキの父。普通の人間。
- コキリ(声/信澤三惠子):キキの母。魔女。
- おソノ(声/戸田恵子):キキが居候することになる「グーチョキパン屋」のおかみさん。おなかには赤ちゃんがいる。
- おソノの旦那さん:パン職人。無口。
- トンボ(声/山口勝平):本名はコポリだが、トンボという愛称で親しまれている。飛行クラブに所属しているメガネとボーダーの服の少年。
- ウルスラ(声/高山みなみ}:森の中に住んでいる画家の少女。

「魔女の宅急便」のネタばれあり感想
ポイントⅠ:言わずと知れたあのユーミンの名主題歌!
やはりこの「魔女の宅急便」という映画に欠かせないもの、それは「主題歌」だ。
「ルージュの伝言」、そして「やさしさに包まれたなら」きっと誰もが一度は耳に、そして口ずさんでしまった経験があるのではないだろうか。
しかしこの2曲、実は「魔女の宅急便」のために作られた曲ではないのだ。
そこでプロデューサーである鈴木敏夫は松任谷由実のナンバーから今作に合うものを選び、この2曲が使われたのだ。
この2曲が使われていない「魔女の宅急便」なんて考えられない程、浸透している。
そんな裏話を秘めた主題歌たちなのである。
まずOP「ルージュの伝言」。曲の入り方がこれまたズルい。
かっこいいのだ。満月の夜、主人公キキは旅立つ。彼女だってまだ13歳。
私たちにしてみれば中学校1年生である。
そんな子が、親元を離れ誰も知らない場所へと飛び込もうとしているわけだから、不安でいっぱいに違いない。
そして、大好きなお母さんたちのもとを離れるなが寂しいに違いない。でも、これが魔女の掟。
彼女自身の選択なのである。いろんな感情が渦巻く中、満月の夜に旅立っていく。
そんな時に真っ赤なラジオから流れてくるのが、待ってました、「ルージュの伝言」。
思春期真っ只中のちょっとおませさんなキキにぴったりの曲である。
イントロからついのっちゃうような軽快なリズム。
まさに歌詞にもあるように「不安な気持ちを残したまま、街はding-dong遠ざかってゆくわ」。
テンポのいい明るめな曲でもあり、歌詞にはちょっとしたやるせなさも秘めている。
この場面のキキにマッチしている曲である。
そして、OPのリズミカルであるのに相反し、ゆったりとした心地よいテンポでノスタルジックなED「やさしさに包まれたなら」。
これは誰の胸にもどこか懐かしさを、ふるさとを思い出させてくれるような曲である。
コリコの街にもだいぶ慣れ、生活を送っているキキだがやはりふと両親のことや小さな時のことを思い出すとどこか寂しく、切なくなるのだろう。
それは大人になっていくうえで当たり前のことなのであるが、時にはふと後ろを振り返りたくなる。
誰もがそんなときがあるだろう。キキをはじめとしたそんな人たちのためにここで「やさしさに包まれたなら」が流れるのではないだろうか。
またこれが成長なのかもしれない。1つの映画のOPからEDで心の変化を楽しめるようになっている作品なのだ。
ポイント2:故郷を離れ、未熟ながらももがく主人公:キキ
この作品は主人公キキの成長物語である。
しかし、この作品中で彼女自身が大きく変化したり、いきなり大人になったりはしない。
小さい時は気にも留めなかったことが途端に気になりだあの時代。
子供だとも言いたくないが、まだ大人になり切れない、背伸びをしたようなあのちょっと恥ずかしくなるような日々をみているような気分になる。
特にそれを感じたのはウルスラの家に泊まりに行ったシーンだ。
魔法がなぜか弱まってしまい、相棒であるジジの声が聞こえなくなってしまったキキ。
故郷からずっとそばにいてくれたジジと存在は彼女にとって計り知れない。
しかし突然わからなくなってしまう。
何をしてもダメ。
そんな中、ウルスラの自宅を訪れることになる。そして画家のウルスラも描けなくなる時があり、ジタバタするしかないんだと励まされるシーンがある。
まるで、ウルスラが過去の自分に話しかけているようなそんな気持ちにさせられる。
実は、キキとウルスラの声は同一人物(高山みなみさん)が演じている。
それも相まってか、過去の自分を認め、そして諭しているようなそんなシーンにも見えるのだ。
そこから展開がガラッと変わるなんてことはないが、キキのもやもやした渦中にわずかながらに光が差したシーンなのではないかと思っている。
生きていくうえで、どうしても越えられない壁や、何をやってもダメな時だってある。
でもダメなもんはダメだ。そんな自分を認める潔さも重要だと語っているようだ。
未だに少女であるキキから、少し大人びたウルスラに、そしておソノさんのような頼もしい女に。
そして最後には大きいお腹だったおソノが出産をし、また赤ちゃんに。こうやって命は巡っていく。
今作品ではキキ自身の成長だけでなく、危機の未来の絵、女の一生も描いているのだ。

まとめ
数々の成長を描いている「魔女の宅急便」。
こうやって記事を書くため振り返っていると、またあの作品を観たくなってくる。
もう何十回も見たはずなのに。
しかし、あの作品には、また戻ってきていいんだよと囁かれているような不思議な力があるのだ。
子供の時はあのきれいな街並みや、素敵な曲、かわいいキャラクターたちを楽しんでいた。
「やさしさに包まれたなら」のようなノスタルジックさがあふれ出てくる。
未熟ながらも、というか未熟だからこそもがいて生きている思春期という時代は1番、色濃い時期なのかもしれない。それに気が付くのはその当時ではないのだと痛感する。
「魔女の宅急便」老若男女問わず、誰でも、誰とでも楽しめる作品となっている。
一度見た方も、だまされたと思って、もう一度振り返ってみてほしい。
その時見えなかったものがきっと今なら見えるはずだから。
そして過去の自分に少し、優しくなれそう。