「サヨナライツカ」のあらすじ・感想。』25年かけた壮大なラブストーリー

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出典:映画.com

「サヨナライツカ」あらすじ

1975年、始まりはバンコク。

夢を追ってこの地に降り立った若きエリートビジネスマン、東垣内豊(西島秀俊)。

豊かには東京に残してきた美しく貞淑な婚約者、尋末光子(石田ゆり子)がいたが、この異国の地でのちに一生忘れられなくなる程の女、真中沓子(中山美穂)に出会います。

光子との結婚を目前にして、お互いの視線の先から始まってしまった大人の関係。

一瞬の火花から、一生の切ない愛へと生まれ変わるラブストーリー。

25年という長い年月を越えて、この二人の結末とは、、、。

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「サヨナライツカ」登場人物・キャスト

・中山美穂(真中沓子 役)

・西島秀俊(東垣内豊 役)

・石田ゆり子(尋末光子 役)

・加藤雅也(桜田善次郎 役)

・マギー(木下恒久 役)

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「サヨナライツカ」の感想・ネタバレ

「なぜ人はサヨナラの用意をして生きるのか —」

運命的な出会いは、灼熱のバンコクで始まりました。

カメラが魅せる色とりどりのバンコクは、ノスタルジックな美しさがあり、クラシックカーを持つのがステイタスのような、今にはない良き時代のバブルの雰囲気も出ていました。

豊の友人が「おれの女」と言って紹介したモーゼの奇跡、真中沓子。

二人は会った瞬間から何も言わずとも視線の奥底からお互いが求め合います。

そんな大人の関係、むしろ私は好きなので一気に引き込まれました。

会うたびに、そして身体を重ねるたびに、深まってゆく二人。

沓子が窓際に立ち、差し込む日差しが沓子の透けたワンピースから艶っぽい身体のシルエットが浮き上がり、激しく豊に絡めるピンヒールを履いたままの沓子の脚など、描写がとても幻想的でした。

豊の鍛えられたあの肉体美も見所は満載で私は好きだった。

全然いやらしくなく、むしろ全て美しい描写だったと思う。

愛し合う二人だったがしかし結果、豊は日本にいた結婚目前の婚約者を選んだ。、、、というか選ばざる終えない現実か。

さすがエリートサラリーマンだ、結婚目前、仕事もしっかり掴み、道を踏み外すことはしませんでした。

ちゃんと現実を選んだ豊を、私は讃えてあげたいと思います。

豊の婚約者光子については、見た目の柔らかさからは想像も出来ないほどの腰の据わった女性でした。

普通、自分と結婚する人の不倫相手に前にして冷静に物を言えるでしょうか。

決して相手を責めずに諭し、最後は静かに一礼して去る光子。

それは妻としての自信を秘めた、とても芯のある強き大和撫子の姿が見えました。

「人間は死ぬとき、愛されたことを思い出す人と、愛したことを思い出す人に分かれる。」

豊が沓子に、「お前はどっち?」と聞いたシーンがあります。

「愛されたことかな」と答えていた沓子。

この答えが25年後、変わる日が来るとは沓子自身も思わなかったでしょう。

印象に残ってる豊のセリフがあります。

「あの女、会えば会うほど会いたくなる。おかしくなりそうだ。今も会いたい。死にそうだ。」

豊の沓子への愛情が強く感じられた言葉だったと思います。

このシーンは豊がタイ人に対して、それまでタイ語で話していたシーンだが、そのセリフだけ日本語で言いだします。

豊の本音が出た気持ちをよく表していたと思います。

とても心に響きました。

そして、豊は沓子との関係にピリオドを打ちます。

空港で沓子との別れと、光子との始まりのシーン。

連動で見せた、あの走馬灯の様なカメラワークも印象深く、本当に涙が止まりませんでした。

そこから25年の月日が経ち、沓子以外は全てを手に入れた豊。

しかし、心は空っぽでした。

表情は硬く、深く刻まれたしわだけが過ぎ去った長い日々を物語っていました。

しかし、そしてまた運命か、再びバンコクへ行くこととなる。

蘇る当時の記憶。

あの頃と変わらず豊を歓迎して迎えてくれた、灼熱の国。

そしてあのオリエンタル・ホテルで二人は再会します。

25年ぶりの再会に驚きが隠せない二人。

その再会も全く想像していなかった再会の仕方でした。

何から話せば良いのか混乱し、言葉に詰まる二人。

どんな心境だったのでしょうか、すごい運命です。

沓子は「想えばいつか必ず会えると思っていました。」と豊に言いました。

ここから作品のタイトルでもある「サヨナライツカ」の意味深さが徐々に出てきてるような気がしました。

待ち望んでいた展開。二人はどうなるのだろう、、とドキドキしました。

どれだけ時が過ぎても、二人の心は止まったままだったのでしょう。

沓子が寺院の前で会いたいと伝え、豊と会うシーンがあります。

なぜ寺院なんだろう、と思ってしまいました。

それがあとからの起こる展開に、沓子の心境を重ね合わせた場所であったのかもしれません。

頭の中に霧がかって過ぎ去っていった長い月日、豊はついに心に決めます。

ここからまたストーリーは展開していきます。

最後はもう涙が溢れて止まりませんでした。

見所ポイント①世界最高峰のマンダリン・オリエンタル・バンコク

作品の舞台になっていた世界最高峰の格式高いホテル、マンダリン・オリエンタル・バンコク。

約130年の歴史あるホテルで、この映画のために初めて撮影を許可したと言います。

この映画のおかげで、私たちはこんな夢のようなホテルの非現実な空間を味わえました。

いくつかのシーンで、このマンダリン・オリエンタル・バンコクのロビーが出てきますが、映画のようにここのホテルのスタッフは、宿泊者の名前を憶えて呼ぶのでしょうか。

さすが世界屈指のホテルだと思いました。

それから何度も名前が出てくる沓子が泊まっていた部屋、「サマセット・モーム・スイート」。

あんなラグジュアリーな空間に、一生に一度でいいから泊まってみたいものです。

見所ポイント②沓子の持つ魅力と、はまり役の西島秀俊

こんなに男を虜にさせつつも、一緒にいる時は茶目っ気たっぷりの可愛らしさがある沓子。

豊の口真似をしたり、じゃれたキスをしたり、こっちの気をひいたり。

女の私が見ても愛らしいです。

そして身体を重ねるとなると、本能のまま大胆になります。

こんな女は男が夢中にならないわけがありまえん。

あとは、色とりどりの美しいドレスや、それに似合わせたヘアスタイルもとても可愛いです。

作品に出てくる衣装は、時代を感じさせるオリエンタルな雰囲気があり、見ていて飽きません。

そして衣装の90パーセント以上は、彼女のために作られたオリジナルのものらしいです。

なんてすごいのでしょう。

沓子の痩せた美しい背中に、ドレスたちがとても輝いていました。

魅力的な女であることは間違いありません。

そうか、魔性の女とはこういう女のこのことかと納得してしまいます。

そして、豊を演じる西島秀俊もとてもはまり役だった。

端正なルックスに優しい性格で、みんなから信頼されていた豊。

こんな彼が恋に落ちてしまったなら、しょうがない、、、と許せるくらいの自分にまっすぐな男だと思いました。

そして所々に出てくる、豊のタイ語が初々しくとても新鮮に感じました。

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「サヨナライツカ」まとめ

本作は小説を原作としますが、映画を観た後で「原作をゆっくり読みたい」と思わせられた作品でした。

沓子と豊は、最後まで後悔はなかったのでしょうか。

強烈な愛の記憶。

だけど二人が生涯、お互いに忘れられらなかった相手だったことは真実です。

そんな真実の愛に人生を捧げた沓子は、最後まで沓子らしい生き方だったのかもしれません。

終わりまでミステリアスな女でいてくれたと思います。

そこがこの作品は最後まで裏切りませんでした。

辻仁成の作品をほかに読みあさりたくなりました。

サヨナライツカ。

いつも人はサヨナラを用意して生きなければなりません。

「私はきっと愛したことを思い出す。」

25年の時を経て、愛されることよりも、愛することの幸せにやっと気づいたのでしょう。

それが豊に対して沓子が最後に用意した、あまりにも切ないサヨナラだったのかもしれません。

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